ĐẠI HỌC QUỐC GIA HÀ NỘI TRƯỜNG ĐẠI HỌC NGOẠI NGỮ KHOA SAU ĐẠI HỌC ----------o0o---------- TRẦN KIỀU HƯNG 日本語における色彩語 -ベトナム語における色彩語との対照比較- TỪ CHỈ MÀU SẮC TRONG TIẾNG NHẬT (SO SÁNH ĐỐI CHIẾU VỚI TỪ CHỈ MÀU SẮC TRONG TIẾNG VIỆT) LUẬN VĂN THẠC SỸ Chuyên ngành: Ngôn ngữ Nhật Bản Mã số: 60.09 Người hướng dẫn: PGS.TS Ngô Minh Thủy HÀ NỘI - 2015 TIEU LUAN MOI download : skknchat@gmail.com ハノイ国家大学 外国語大学 大学院 ----------o0o---------- TRẦN KIỀU HƯNG 日本語における色彩語 -ベトナム語における色彩語との対照比較- ベトナム語における色彩語との対照比較- TỪ CHỈ MÀU SẮC TRONG TIẾNG NHẬT (SO SÁNH ĐỐI CHIẾU VỚI TỪ CHỈ MÀU SẮC TRONG TIẾNG VIỆT) 修士論文 専攻科目: Ngôn ngữ Nhật Bản コード: 60.09 指導教官: Ngo Minh Thuy 准教授、博士 ハノイ–2015 年 TIEU LUAN MOI download : skknchat@gmail.com 謝辞 本研究を行うため、他の方々から、ご協力及びご支援をいただきました。 まず、ハノイ国家大学外国語大学の Ngo Minh Thuy 准教授は本研究に対して深 い関心を示し、構造の大枠から展開方向、問題設定まで懇切なるご指導を与えて くださいました。厚く感謝の意を申し上げます。 また、同学部の先生方々が貴重なご意見をくださったことにも心から感謝いた します。 TIEU LUAN MOI download : skknchat@gmail.com 目次 謝辞 序論. 1 1.研究の背景. 研究の対象と目的. 1 3.先行研究.
2 4.研究方法とデータの概要 .1 データ収集方法 .2 分析方法. 3 5.本論文の構成. 4 第一章: 色彩語の概要 .1 色彩語 .2 色彩語 .2 基本色彩語 .1 系統色名 .2 固有色名. 11 第二章: 日本語における色彩語の体系と基本色彩語の意味及びそのベトナム語と の対照比較 .1 日本語における色彩語の体系 .2 日本語における基本色彩語の意味 .1 色彩語の起源 .2 基本色彩語の象徴的意味.
26 第三章: 日本語及びベトナム語における色彩語 .1 バオ・ニンの『Noi buon chien tranh』作品における色彩語と大川均の 『愛は戦いの彼方へ―戦争に裂かれたキエンとフォンの物語―』という日本語 訳における色彩語の統計と分類 .2 バオ・ニンの『Noibuon chien tranh』作品と大川・均の日本語訳におけ る色彩語の対照比較 .1 数量的にみた対照比較 .2 使い方と意味. 58 TIEU LUAN MOI download : skknchat@gmail.3 象徴的な意味と比喩表現. 64 参考文献. 65 TIEU LUAN MOI download : skknchat@gmail.com 図・表の目次 表 2.1-日越語における「白」の象徴的意味についての対照比較 .2-日越語における「黒」の象徴的意味についての対照比較 .3-日越語における「赤」の象徴的意味についての対照比較 .4-日越語における「青」の象徴的意味についての対照比較 .5-日越語における「緑」の象徴的意味についての対照比較 .6-日越語における「黄」の象徴的意味についての対照比較 .7-日越語における「紫」の象徴的意味についての対照比較 .8-日越語における「灰色」の象徴的意味についての対照比較 .9-日越語における色彩語の数の比較 .10-両言語にある色彩語 .11-日本語のみにある色彩語 .12-ベトナム語のみにある色彩語 .1『Noi buon chien tranh』作品のベトナム語原著書と日本語訳におけ る白系統 .2『Noi buon chien tranh』作品のベトナム語原著書と日本語訳におけ る黒系統 .3『Noi buon chien tranh』作品のベトナム語原著書と日本語訳における 青・緑系統 .4『Noi buon chien tranh』作品のベトナム語原著書と日本語訳におけ る赤系統 .5『Noi buon chien tranh』作品のベトナム語原著書と日本語訳におけ る黄系統 .6『Noi buon chien tranh』作品のベトナム語原著書と日本語訳におけ る紫系統 .7『Noi buon chien tranh』作品のベトナム語原著書と日本語訳におけ る茶系統 .8『Noi buon chien tranh』作品のベトナム語原著書と日本語訳におけ る灰系統 .9『Noi buon chien tranh』作品のベトナム語原著書と日本語訳におけるピ ンク系統 .1 両作品における色彩系統ごとに分類した色彩語の数の対照比較 .2 両作品における色彩語の 5 グループの出現頻度.
59 TIEU LUAN MOI download : skknchat@gmail.com 序論 1.研究の背景 具体的な物事にしても、抽象的な物事にしても、その美しさを記述したりたと えたりするとき、色彩語がよく使われる。人間の生活が豊かになり、文化が発展 するに従って、色彩語も豊富になってきた。しかし、それぞれの言語文化の違い によって、基本的な色であっても、その語の指す範囲は必ずしも同じではない。 そして、派生・転用した意味、比喩的、象徴的な意味においては、大きな違いが あることも少なくない。それは、言語そのものに起因することもあるが、主とし て社会制度、生活様式、風俗習慣に基づいて歴史的に形成されてきたものだから である。 色彩そのものは区別すれば限りがないほど多様であり、どの言語でも、色彩語 が多様である。人間の目が識別できる色の数は無数と言われているが、色彩語の 数は無限ではない。せいぜい 2~300 語というところであろうか。しかし、国や民 族などの色彩語についての概念には違いがあり、日本語を勉強している学習者に とって、色彩語の意味をはっきり区別し、正しく使い分けることは困難である。 それゆえ、「日本語における色彩語-ベトナム語における色彩語との対照比較 -」という研究を行うことにした。 2. 研究の対象と目的 研究の対象と目的 本稿では日本語における色彩語を研究対象とする。また、ベトナム語における 色彩語との対象比較を行う。しかし、色彩語は複雑であるし、様々な問題がある ので、一つの論文に述べることはできないと考える。従って、今回は様々な色彩 語が使用されている資料を考察することを通して、日本語の色彩語に関する各定 義、分類を明示した上で、色彩語の体系と意味を分析する。 色彩語は日本人の生活、文化、歴史を反映し、様々な象徴的な意味を持ってい る。ベトナム人学習者が日本語における色彩語の意味や使い方を深く理解できる ように、本稿では筆者はできる限り日本語の色彩語をベトナム語に翻訳する。 ベトナム人が日本語を学習する際、母語の影響を受けるため、日本語の色彩語 を自然に使うことはむずかしい。そこで、本研究では日本語における色彩語の特 性についての検討に基づき、ベトナム語における色彩語の対照、比較を行うこと 1 TIEU LUAN MOI download : skknchat@gmail.com によって、日本語の色彩語、特に基本色彩語についての理解を深めることを目的 としたい。 3.先行研究 現代まで脈々と続く色彩研究史を紐解き、紀元前のギリシャ時代まで遡れば、 後のゲーテ(Johann Wolfgang von Goethe 1749 – 1832)に影響を及ぼしたとも言わ れるアリストテレス(Aristotle BC 384 – BC 322)の古典的色彩学を見だすことが できたる。また、ゲーテと同じ 18 世紀には古典的自然科学としての色彩学におい てニュートン(Isaac Newton 1642 – 1727)の名を見ることになる。20 世紀に入り、 近代科学においては文化人類学や言語学、心理学、生理学、工学等幅広い分野・ 領域で学術的テーマとして取り上げられることになる。言語学や文化人類学、心 理学の分野では、普遍主義・相対主義それぞれの立場から、色と文化や言語の関 係に関する議論が展開されている。言語学の関心は色のラベリング、即ち色彩語 であり、個別言語における色彩語や言語間の差異に関する研究などが見られる。 代表的なものには言語相対論のサピア&ウォーフ仮説に基づく考察や普遍主義を 主張する文化人類学者のバーリン(Berlin, B.)と言語学者のケイ(Key, P.)によ る Basic Color Terms の研究がある。また、心理学分野では色彩語の習得、とりわ け母語における色彩語の獲得に関する研究は少なくない。しかし、第 2 言語を対 象とした色彩語習得の研究は少ない。 ベトナム語の色彩語についても、日本語の色彩語についても既に研究が深く行 われた。新聞や文学などのコーパスからの色彩語についての研究や、作家が使う 色彩語の特徴などについての研究、または色彩語の語構成、比喩や象徴などの意 味と用法を論じるものもたくさんあり、かつ非常に大きいな成果を挙げた。 まず、坂本・古牧(2005)は、心理学実験と文学作品コーパスを用いて、「赤 い」「青い」「黄色い」「白い」「黒い」いわゆる基本色彩語が名詞を修飾する 形式のメタファー表現を対象にして考察した。心理実験の結果から、「色彩語が 本来物理的色彩をもたない心的状態などの抽象物を指示する名詞を修飾している 色彩語メタファーでは、色彩語単独の場合とは異なる意味が喚起され、特に否定 的なイメージが喚起される傾向が見られた」と指摘した。また、色彩語が否定的 なイメージをもつ抽象物を指示する名詞を修飾している例が多いことが文学作品 コーパスを用いて確認された。 2 TIEU LUAN MOI download : skknchat@gmail.com 伴・浩美(2005)「日英色彩語の連想イメージの比較」vol.1 において、幾つか の主要な色彩語のイメージについて、日本語と英語の場合での比較を行った。そ の結果、日本語の色彩語の方が多くのものをイメージしやすいこと、漢字‐文字 の色彩語に対して漢字‐文字のイメージが多く出される傾向があること、また、 英語の場合には、その色彩語を含んだイメージがよく出されることが明らかとな った。 また、蘇紅(2013)「色彩語の日中対照研究‐赤・黄・黒・白の四色を例とし て対照する場合‐」という研究は一つの試みとして色彩語の日中対照をと通して、 互いの共通性と固有性の一端を解明した。その結果、色を表すという意味では、 日中両国の区別はあまりなく、周辺的な色のバリエーションもほぼ同じであった。 これに対して、色だけを表すという意味以外では、日本語と中国語で異なる意味 を有することが多く、特に「色を表さない」場合には、両者の違いが大きかった。 Nguyen Khanh Ha (1995) 「He thong tu chi mau sac tieng Viet」という修士論文に おいて、ベトナム語における色彩語は基本色彩語、派生色彩語、具体的なものを 表す色彩語という 3 種類を含むと結論した。 色彩語の日中対照研究や越英対照研究などの多くの色彩語についての両言語対 照研究も詳細に行われたが、色彩語についての日越対照研究はこれまでない。 4.研究方法とデータの概要 4.1 データ収集方法 ベトナム語の色彩語についてのテキスト、修士論文や雑誌などと日本語の色彩 語についての各研究のを利用して、研究を進める。 これらを扱う理由としては、それぞれの研究が各方面から色彩語を分析してい るからである。以下の文献を用いた。 さらに、具体的に色彩語の日越対照比較をするために、バオ・ニンの「Noi buon chien tranh」作品と大川均の日本語訳を用いた。 4.2 分析方法 認知言語学の立場から、プロトタイプ理論を用いて、日越色彩語の体系と意味 を考察し、その両言語の基本色彩語の象徴的意味を究明する。考察の結果に基づ いて、日越両言語における色彩語の共通点と相違点を分析する。 3 TIEU LUAN MOI download : skknchat@gmail.com 5.本論文の構成 本論文は、序論、結論、謝辞、付録を除いて、第一章、第二章、第三章という 三つの章から成る。 第一章では、日本色、色彩の概念について概説する。色彩語の概念を述べ、そ の他の関連のある各概念と区別する。 第二章では、日越色彩語の体系を分析し、基本色彩語の象徴的な意味を検討す る。さらに、日本語における色彩語とベトナム語における色彩語との共通点と相 違点を提示する。 第三章では、バオ・ニンの「Noi buon chien tranh」と大川均の日本語訳における 色彩語の考察を通して、使い方と象徴的な意味の面で、日本語における色彩語と ベトナム語における色彩語との対照比較を行う。 4 TIEU LUAN MOI download : skknchat@gmail.com 第一章 色彩語の概要 1.1 色彩語 1.1 色 物理学的には、光学を基礎とし、色の変化は、物体と物体を照らす光との相関 を用いて説明される。また、観測者に届く光とそれに対する認知とに左右される ため、一般的な色は人間の視覚即ち可視光線の範囲内を基準として表現されてい る。星の色は、その星が放射している光の色に関係する。光は波であり、真空の 空間を伝わる波動である。星が光波を放射すると、その波は真空の宇宙空間を地 球まで伝わってきて、私たちに星の光が見えるのである。光波は、水面の波のよ うに、波長と呼ばれる長さ、つまり波の連続した 2 つのピークの間の距離によっ て記述することができる。異なった波長の光は、私たちの目には異なった色とし て見える。短い波長は青や紫に、長い波長は赤に見えるのである。 短い波長から長い波長へと並べられた光の例は、光の可視スペクトルと呼ばれ ている。下の画像は、紫から赤にわたる光の可視スペクトルを示している。スペ クトル(quang phổ)が虹の色の順番であることがわかるであろう。ベトナム語で 虹の色の順番における色名は đỏ, da cam, vàng, lục, lam, chàm, tím。光の波長は、こ の可視スペクトルの上に、オングストロームの単位で印をつけてある。(1 オン グストローム=10 メートル) スペクトル 視覚のうち、光波のスペクトル組成の差異によって、区別される感覚は、光の 波長だけでは定まらず、一般に色相、彩度、明度の 3 要素によって規定される。 5 TIEU LUAN MOI download : skknchat@gmail.com 色相とは、赤や黄、緑、青などの「色味」を表す要素である。色味は細かく分 ければキリがないが、暖色と寒色に大別することができる。なお、便宜上、黄色 を中心とするような色(左半分)を暖色系、青を中心とするような色(右半分) を寒色系としている。 彩度とは、「鮮やかさ」を表す要素である。同じ色相の色でも、彩度が高い色 ほど鮮やかに見え、低い色ほどグレーに近くなる。彩度がゼロの場合、色味がな いので、無彩色(黒や白、グレー)になる。 明度とは、「明るさ」を表す要素である。色相や彩度が同じであっても、明度 が低いほど黒っぽく、高いほど明るい色になる。 1.2 色彩語 色彩語は,使用頻度・割合,共感覚表現・象徴性などの種々の観点から文体論 の素材とされてきた。色彩語の研究では、色彩・色彩名・色彩語の水準を区別す ることが重要であると考える。ここでは、下図のように考えたい。 6 TIEU LUAN MOI download : skknchat@gmail.com これは以下のような概念・問題を含む。 色彩は一項関係、色彩名は二項関係、色彩語は三項関係である。上位水準は下 位水神を包含し、色彩語はそれら三者間の関係体と理解される。それらの象徴性 は、視覚性と言語性との交点に現れると考えられる。言い換えれば、その特徴性 は、コミュニケーションにおける事実である。文体をコミュニケーションの中に 考えようとすれば、色彩に関しても、「(眼でなく)脳が見る」という立場でけ でなく、行動と相互作用とを問題とする「人間が見る」という立場が必要となる であろう。認識的水準を包含する行動的水準が考慮されるべきであり、物語に投 影された行動の軌跡・語りの構造、メディア的状況にも注意が必要となろう。膨 大な情報が容易にアクセス可能な状況に置かれている際、情報を処理する側には、 適切な選択性のある情報のファイルたーが必要である。色彩は光を固体が一部吸 収して、残りを反射、または秀過した産物で、色彩名は色彩の種類を識別し、社 会的に機能する。色彩語は色彩名に対するファイルターで、意味作用を生ずる (色彩名と色彩語とが必ずしも一致しないという点に表現性の一つの源泉があ る)。ただし、これは類と例でなく、色彩名が含意する様々な種類の経験の(受 け手側における)解釈を色彩語が選択すると考えるべきであろう。色彩語の文体 性は三段階の(選択的な)ファイルたーを経て語彙として標準化されている。そ のとき、外界の情報が受容器にもたらされ、一連の処理の結果受けてに意味作用 を及ぼすといい、周辺から中心への認識的筋道を描くべきではない。環境は、本 来的に相互的であろう。外界の情報と第一次ファイルたーとしての身体・受容器 7 TIEU LUAN MOI download : skknchat@gmail.com との関係は双方向的であり(見るから見える)、色と名との関係も、名と語との 関係も双方向てきであると考えるべきであろう。言い換えれば、色彩は色彩名と してシミュレートされ反復される中で存在し、色彩語はその個別言語的な使用で ある。このように考えるとき、色彩語における語と色彩との象徴性は、ときに、 区別されにくいものであり、テクストが紙上に黒色インキで実現するという前提 が疑いないものであったからには当然であった。テクストは複雑な構造を有し、 物理的な諸手段の支えなしでは存在しない。ここで、テクストの電子化は、選択 可能な(等価な)複数の読み方を提示するものだとしても、テクストの受容過程 をめぐる社会的要因の一つにすぎないが、影響はいずれ色彩語研究にも及ぶ。レ ベルの区別は、電子テクストについて更に明らかである。つまり、デジタルメデ ィア環境においては、本来ファイルたーされるべき光が直接的に訴えかけてくる。 デジタルメディアは電光メディアであり、それがマルチメディアを指向する以上、 必然的に多色多光的である。つまり、現在のメディア的状況に考えれば、一次性 の記号(色彩)の文体の検討への組み込みを考えるべきではないであろうか。色 彩語に語の意味に還元できない効果があるのは、色彩語が意味や指示として色彩 を持つだけでなく、その物理的実現に必ず色彩を(従来は多くの場合、多色性を 被覆するモノクロを)伴うからでもある。 1.2 基本色彩語 基本色彩語とは、連続した色空間を非常生活に必要な更に基本的な単位に分類 したものである。即ち、ある限られた範囲の色に与えられた固有の名前ではなく、 色空間全体をいくつかの色名で概念的に把握するための言葉であり、多くの者が 幼少時に文化的背景に応じて最初に覚える色の名前である。色彩語の基本語は何 だろうか。 近年の色彩語研究における普遍主義の代表は文化人類学者の B.バーリンと言 語学者の P.ケイの研究に BCT という仮説が述べられている。Basic Color Terms: Their Universality and Evolution (Berlin & Key 1969) は今日の色彩語研究に大きな影 響を与え、この分野における基本文献となっている。同書によると、バーリンと ケイはおよそ 100 種類の個別言語を対象に色彩語についてインフォーマント調査 を実施した。バーリンらは以下の 3 つの結論を述べた。 i) 言語によって色彩語の数は異なる ii) その色彩語に対応する色の範囲は異なる 8 TIEU LUAN MOI download : skknchat@gmail.com iii) 言語の進化によって次第に基本色が分化し、11 語まで増える これは基本色彩語(BTC:Basic Color Terms)と呼ばれている。両人の調査によ れば、およそ 100 の言語には、全体で 11 の基本色彩カテゴリー white, black, red, green, yellow, blue, brown, purple, pink, orange, grey があり、各言語はこれらのカテ ゴリーの中からそれぞれ一定数を自由に言語化して、色彩語としているらしいと いう。その際、ここが重要なのであるが、言語化したカテゴリーが 11 未満である 言語では、どのカテゴリーを言語化するかに関し、次の一定の通言語的な厳しい 制限があるという。 1.White と black は全ての言語にある。 2.色彩語が 3 つなら、red がある。 3.色彩語が 4 つなら、green または yellow がある。 4.色彩語が 5 つなら、green と yellow がある。 5.色彩語が 6 つなら、blue がある。 6.色彩語が 7 つなら、brown がある。 7.色彩語が 8 つ以上、purple, pink, orange, grey か、それらのうち、どれかを組 み合わせた色がある。 1.3 色名 通常、ある一つの色名が指し示す色のイメージにはある程度の幅があり、その 幅は色名によっても様々に異なる。そのため、色名と色(即ち色相・彩度・明度 の組み合わせ)との関係は一対一であるとは限らず、ある色名に対応する色が広 範囲にわたることや、ある色の領域を指し示す色名が複数ある場合も少なくない。 例えば、赤という色は可視光線のうち 620nm 付近を中心として、約 600~780nm 程度の波長領域に相当するが、この中には、オレンジ色や紫に限りなく近いもの まで含まれる。朱色や緋色・ワインレッドなどの狭い範囲を表す色名の一般的に は赤に包含されると考えてられている。 色名と実際の色の対応は諸言語や個人間においても差があり、これには文化圏 や生活環境が大きく影響していると考えられる。例として、ベトナム語と日本語 を例にとってみると、ベトナム語で“màu đỏ”と表現される色の領域は日本語で 「赤」と表現される領域と極めて近い関係にあるが、ベトナム語の話者が“màu đỏ”という色名に対して思い浮かべるイメージが、そのまま日本語の話者が「赤」 という色に対して思い浮かべるイメージと厳密に一致しているかどうかは定かで はない。ベトナム語の“màu đỏ”という色の概念が、時として日本語で「朱」と呼 9 TIEU LUAN MOI download : skknchat@gmail.com ばれる色についても含んでいることなどを考慮すると、実際、“màu đỏ”や「赤」 という色名の概念はそれぞれの文化圏に依存しており、両言語間で翻訳される色 名同士がまったく同じ色といえるかどうかは、非常に微妙な問題である。虹を構 成する色を表す色名の数が言語や民族によって様々であるという事実も、色名と 実際の色のイメージが厳密に対応しているとはいえないことを示している。 1.1 系統色名 系統色名は JIS 規格においては「物体色を系統的に分類して表現できるようにし た色名」と定義されるが、具体的には基本色名に修飾語を組み合わせた色の表記方 法固定である。 基本色名は色を分類する上でもっとも基本になる色名であるが、複数の基本色名 の緩急領域に存在する色を表すには不十分であり、これらの色名だけでは色空間の 中に命名することができない色域が残されてしまう。つまり、基本色名のみであら ゆる物体色を表示するのは不可能であり、基本色名にさらに修飾語を付加すること によって命名不能の色域が生まれないように表示することが必要である。ここで述 べる修飾語とはだれもが理解できるような明度・彩度・色相に関する形容詞などを 指している。即ち、明るい、暗い、鮮やかな、くすんだ、濃い、薄い、あるいは赤 味の、黄味の、といった表現である。 JIS 規格では、このような修飾語は有彩色の明度および彩度に関する修飾語:鮮 やかな、明るい、強い、濃い、柔らかい、くすんだ、暗い、ごく薄い、明るい灰 みの、灰みの、暗い灰みの、ごく暗い;無彩色の明度に関する修飾語:薄い、明 るい、中位の、暗い;色相に関する修飾語;赤味の、黄味の、緑みの、青みの、 紫みの、の 3 つに分類されている。これらの修飾語と基本色名を用いて、「鮮か やな黄みの赤」などといった命名が可能になる。このような表示方法によって、 色空間におけるあらゆる色を系統色名で命名することができる。また、系統色名 から色を想像することも容易となる。一方、一つの系統色名が表す色域はある程 度の幅を持っており、明度・彩度・色相を記号や数字を用いて表示する方法に比 べ、厳密性に欠けるという特徴があるため、正確な色表示にはやや不向きである。 系統色名 色名 赤系統 鴇色 薄いピンク 茜色 黄赤 蘇芳 暗い紫みの赤 10 TIEU LUAN MOI download : skknchat@gmail.2 固有色名 基本色名や系統色名は、色空間に属する色域を分割し、区別するための表示方 法であるが、固有色名それらとは異なり、ある特定の色に対して与えられた個別 の名称のことである。この個別の名称は、それが用いられる文化圏においてそれ ぞれの何らかの由来や意味を持っていることが普通である。例えば、その色を得 る直接の材料となった染料や顔料に由来する色名や、その色から喚起されるイメ ージに合う動植物や自然物・人工物などから採用された色名などが一般的である。 染料や顔料に由来する例としては、アイの葉を染料として得られた藍色や硫化水 銀を原料とする朱色などが挙げられよう。色のイメージに由来する例はさらに多 く、例えば桜色などは桜の花をイメージさせるごく淡い赤のことであるが、これ は決して原料が桜の花であることを意味していない。空色や水色また色のイメー ジから命名された典型的な例である。利休茶や新橋色、ロイヤルブルーといった ように人物・地名・身分など、実に様々な対象が色のイメージによって季節感や 感情などとも密接に結びついており、その社会における色彩に対する感受性を色 濃く反映しているといえるだろう。 • 慣用色名 固有色名の中でも、特に非常的に使われ一般に広く知れ渡っていろものを慣用 色名と呼ぶ。慣用色名は JIS・日本工業規格によって「物体色の色名」と規定され ている。 例:桜色(桜の花の色)、桃色(桃の花の色)等 そのように、全て 269 色であり、和名の 147 色と英名の 122 色を含む。 • 伝統色名 古来から使われる続けてきた伝統的な色名。慣用色名と重なることも多い。 例:縹色(はなだいろ)、瓶覗(かめのぞき)等 伝統色の系統は日本語における黒白・赤・青・緑・黄・茶・紫の 7 系統に分け られる。 • 流行色名 時代の風俗や技術を反映し、一時的に流行して生まれた色名である。商業的な 目的で色のイメージを美化するために採用された恣意的な色名であることがしば しばある。慣用色名と重なることも多い。 例:新橋色(しんばしいろ)、ミッドナイトブルー等 まとめ 11 TIEU LUAN MOI download : skknchat@gmail.com 以上では、色、色彩の概念について概説した。そして、その他の関連のある各 概念と区別した。人の視覚のうち、色彩は一般に色相、彩度、明度の 3 要素によ って規定される。人間は自然環境にある色彩の感化をいろいろな方法でうけてき た。色彩語の数及び象徴的な意味が言語や民族によって違うということは、色名 と実際の色のイメージが厳密に対応していないことにも考えている。しかし、各 言語でも言語の進化によって次第に基本色が分化し、基本色彩語は 2 語から 11 語 まで増えている。 12 TIEU LUAN MOI download : skknchat@gmail.com 第二章 日本語における色彩語の体系と基本色彩語の意味 及びそのベトナム語との対照比較 及びそのベトナム語との対照比較 2.1 日本語における色彩語 日本語における色彩語の体系 色彩語の体系 太古の昔から人間は生活環境の中にある色彩の感化をうけてきた。特に、自然 環境の色彩は先人の色彩感覚を育ててきた。日本のように自然の風物に恵まれ、 四季の移り変わりがあり、天然の美しさを観察できた国と地域では、色彩感覚は 優れて鋭敏であったかと思われる。視覚をとらえ、心に組み取る色彩は細かく鮮 やかで、明るい太陽の光と青らかな水に浴し、その自然の色彩をいくらでも活用するこ とができたはずである。ところが、色を表す日本語の語彙はそんなに多くはない。 日本には、上代から外来の文化の摂取に非常に意欲的で、先進国であった中国 へ遣隋使や遣唐使を派遣して、大陸の文物を取り入れ、多方面にわたってそれを 習得した。色も例外ではなく、中国の影響が少なくない。とりわけ重視されたの が五色、すなわち、「青」「赤」「黄」「白」「黒」である。五行思想に基づい た色で、中国では正色、もっとも基本的な色とされたようである。日本では、こ の用語をそのまま受け入れ、「あお」「あか」「き」「しろ」「くろ」と称し、 主要の色として盛んに用いた。しかし、この名称については、命名の理由となる 確たる根拠は見当たらない。伝来の色は、いわば、概念的に把握され、それに日 本名をつけたものといえるようである。色の物理的性質については、マンセル・ システムというものがあって、色相・明度・彩度に分析され、三次元の「色立 体」に表現される。 W 明度 Bk マンセル色位体の骨組 13 TIEU LUAN MOI download : skknchat@gmail.com 日本人は、虹は七色だと思っているが、この七色は色相の七つの変種である。 「白」や「黒」は色相の中にはない。「黒」がその濃さを薄めて、明るくなると 「灰色」になり、「灰色」をもっと薄めていくと「白」になる。この変化は明度の 変化である。また、明度を一定にしておいて、例えば、「江戸紫」や「古代紫」を あや め いろ 「菖蒲色」や英国王室のオフィシャル・カラーといわれる「ローヤルパープル」と 比べると、後者のほうが鮮やかである。この「鮮やか」の程度が「彩度」である。 こうして物理的に分析されたそれぞれの色は、数字とローマ字の組み合わせによる 記号で表されるとともに名前が付いている。 例: 慣用色名 カラー 表色系 H V C R(10) G(10) B(10) と き いろ 鴇色 HVC 7RP 7.5 8 245 164 184 つつじいろ 躑躅色 HVC 7RP 5 13 204 75 123 桜色 HVC 10RP 9 2.5 244 222 223 ば ら いろ 薔薇色 HVC 1R 5 13 209 73 101 しかしながら、本研究の範囲では、言語や文化の面から、日本語おける色彩語 を研究している。 日本語における色彩語の体系には、日本の JIS 規格によって、269 色名があり、 その中で和名は 147、外来名は 122 である。 例: • 和名:朱、紅色、黄色、鉄色、等 • 外来名:ボルドー、トマトレッド、サーモンピンク、等 基本色彩語は:赤、黄、緑、青、白、黒、ピンク、オレンジ、茶色、紫、灰色 の 11 種類がある。 14 TIEU LUAN MOI download : skknchat@gmail.com ベトナムは東南アジアにあり、日本と同様に四季もあって、自然も美しいので、 色彩環境が豊富であろう。また、昔からベトナム人が山野の草木、大地の土等を 材料とし、工夫をこらして、様々な色が作り出された。しかしながら、他の言語 と同様に、ベトナム語における色を表わす語の数は無限ではない。 ベトナムにおける色のシステムは国際基準に従って、スペクトルにより色を区 別する。それは:đỏ (đỏ cờ) - 赤、cam (da cam) - 橙、vàng (vàng chanh) - 黄、lục (xanh lá cây) - 緑、lam (xanh da trời) - 青、chàm - 藍、tím (xanh nước biển) - 紫である。 日本語における色彩語の体系と比べ、量の面から、大体同じであろう。しかし、 民族によって色についての観念や連想が違うので、意味の起源と象徴的意味も違 うかもしれない。 ベトナム語における色彩語の体系には、基本色彩語は「xanh」(青・緑) 、「đỏ」 (赤) 、「tím」(紫) 、「vàng」(黄) 、「trắng」(白) 、「đen」(黒) 、「nâu」(茶 色)、「xám」(灰色)の 8 種類である。 特に、外来語の元によりベトナム語における色彩語の数が少ない。この点で、 日本語と違うであろう。 2.2 日本語における基本色彩語の意味 2.1 色彩語の起源 i) 漢字の起源 ● 白 「白」字は、字形については古く諸説があったが、今日では象形文字であるこ とには異論がない。しかし、何を象ったものかということには問題がある。拇指 つまり手の親指形、手の親指の爪の形象、また檪楢・樫の実である団栗の形象、 あるいは、月が光るさまなどともいう。その是非の論は別として、それが何の形 象の「しろい」の概念を導き出すことは困難である。つまり、白色の意は何かを 借りた、反借義であると思われる。それにも指「擘」(ハク)・人の死体を曝し た白骨「魄」(タク・ハク)・動物の犠牲の白骨「 (ハク・カク)・曝(ホ ク・ハウ)・団栗の中味の白さ「柏」(ハク)、月光「覇」(ハク・ハ)、 「革」(かわ)の裏側の色などともいわれ、「ハク」音の由来も断定は困難である。 甲骨 金文 古文 古璽 簡書 盟書 篆文 15 TIEU LUAN MOI download : skknchat@gmail.com ● 黒 「黒」字の字形は何からであるか。これは火を燃やす所の上部にあり、窓か煙 突に煤のついたさまから成る会意文字とみるものである。形象と会意はただ視点 の相偉であり、その要素については同じなので、字形としては問題はない。煤が ついたまま、煤がつまったさまなどの解説も、単に表現を変えたに過ぎず、問題 にするのに足りない。しからば、その「コク」の音の由来はというと、それには、 夜の闇黒(夜冥)の意を表し、「暮(ボ)」か「晦(カイ)」からとも考えられ る。または、具体的には「煤(バイ)」が「灰(カイ)」(燃えかすのはいで、 黒色の意)など、あるいは、「海(カイ)」(黒い水・玄海)など、いわゆる 「くらい」意か「くろい」という概念からきている疑いもある。端的にいって、 夜の色か煤の色からきたものであろう。 甲骨 金文 古文 古璽 簡書 盟書 篆文 ● 赤 「赤」字は、「大」(おおきい)と、「火」(ひ)とから成り、会意文字と見 こうこつ かねぶん ることには異論がない。甲骨文字・金文などの古体漢字のすべてが、そのとおり である。地上の大いに燃える火か、天上に赫として燃える太陽か、という疑問が 起こる。「赤」字は「大火」の意である。字音の漢音「セキ」・呉音「シャク」 も、もと火があかあかと盛んに燃える上がる色からきたものである。つまり、 い こわ ね 「火」字の「クワ」(カ)音が入声音となり、それが「セキ」に転じたものとい 16 TIEU LUAN MOI download : skknchat@gmail.com う。まっかに燃える意の「灼」(シャク)または火を燃やす意の「炙」(セキ・ シャ)字など、一連の家族語との併考でも首肯される。 甲骨 金字 古文 古璽 簡書 盟書 篆文 ● 青 「青」字は図版で示すように、下部の意符は「月」字ではなく、「丹」字であ セイ る。そして音符の「生」は、草木の若芽の意の「 」(=芝)の中間に「●」(= 一)印が付き、そこが生長することを示した文字である。つまり、青い草木の葉 が伸びる意を表したものである。すると、「青」字は、もと「 」と書かれ、鉱 井から採れる草木の葉の色をした鉱物のことである。青色の顔料・絵の具用の鉱 物といえば、群青か緑青である。 (古籡三補) (金文編) 金 (説文古籡補) 文 (漢字の起源) (古文字類編) 古 簡 文 (古文字類編) 書 (説文) 布 古 帛 璽 (古文字類編) 文 (古文字類編) 篆 文 17 TIEU LUAN MOI download : skknchat@gmail.com (説文) 日本では、「青」と「緑」の厳密な区別ははなかった。日本語の「アオ」は青 緑であり、ブルー(blue)に相当する「青」も伝統色にはなかった。日本の伝統 色で、青系統は藍になるものと思われる。「延喜式」には、黄緑や青紫、赤紫と いう間色の表記はないのに、「青」と「緑」の中間の色として青緑だけではない。 き はだいろ 染料は緑の場合と同じく藍と黄蘗色であり、どの程度青みに差があるか分からな い。漢字の「碧」という字は、訓読みでは「アオ」とも「ミドリ」とも読むので、 やはり「青緑」(あおみどり)と言える。しかしながら、この字は日本語では色 こんぺき の表現としては少なく、たいてい紺碧などのように熟語として使われることが多 いであろう。それで、日本語における青緑系の慣用色名は少ない。植物の青緑の 花や葉や果実などを表現する語句はほとんど見当たらない。 ● 黄 「黄」字は五行思想の影響が大きく、永く原義が忘れ去られている。この字は 古体文字で見る限り、火矢の形である。古く黄矢とも呼ばれたものである。人に こう よると、上部は「光」字の略体「炗」と、膨らみを持つ「矢」の合字というが、 こうこつ おもり 甲骨文字では、単に矢の後部に 錘 のついた形象である。それは矢の先端に油など を浸ませた可燃物に火を点じたものをつけ、後部に錘をつけ平均をとった形に象 にじゅう ると見るべきである。もちろん、象形文字である。金文の上部の「 廿 」は火の りょう ついた可燃物で、正しくは「 橑 」(焼く・燃やす)字の略体の「 」とみるこ とができる。これは攻城戦などで、敵陣に射かけて火災や混乱を起こさせるため の、武器一種であった。これは同じ火の色でも前のカッカと燃える大火の色より は、はるかに薄い色である。それは流星の色とも通じるものともいう。つまり、 「赤」と「黄」は実生活の中でみる、火の色の濃・淡の差に基づく、二つの色彩 感から造られた文字なのである。この光・晃・煌・曠と一連のもので、大きく四 方八方へ拡がる光の意からきているものである。 甲骨 金文 古文 古璽 簡書 盟書 篆文 18 TIEU LUAN MOI download : skknchat@gmail.com ● 紫 シ 「紫」字の字形は何からであるか。上部は「此」であり、「此」は「止(=趾 あし)と比(並ぶ)の略体」の会意文字で、両足が不揃い、ちぐはぐに並ぶこと の意を示す。「紫」は「糸と(音符け)此」で、「赤」と「青」を交ぜて染めた 色が揃わず、ちぐはぐな中間色となること。 ii) 外来語の起源 日本語の語彙には、日本語本来の固有語と外来語からの借用語に二分し、借用 語をさらに漢語と外来語に分類することもある。科学技術の進歩や国際化に伴い、 外来語が増加していることは確かであろう。外来語はカタカナで書かれている。 日本語における色彩語の中で、外来語も多い(100 語以上)。 例: 色彩語(外来語) 外来語の元 1 ロースピンク Rose pink 2 ルビーレッド Ruby red 3 ワインレッド Wine red 4 ストロベリー Strawberry 実際には、日本語における色彩語の数が多いが、その使用率が低く見える。同 じ色を表すため、外来語も和語もある。そのような場合は少なくない。 例: 和語 外来語 1 薔薇色 ロース 2 桃色 ピーチ 3 橙色 オレンジ 4 空色 スカイブルー 19 TIEU LUAN MOI download : skknchat@gmail.com 5 蜜柑色 マンダリンオレンジ 現代、ベトナムでは、西欧等から入った語系が多い。それらの語系はベトナム 化され、例えば、“sê-mi-na”(semina: buổi thảo luận), “ma-ket-ting” (marketing: tiếp thị) 等。このように、色彩語の中で、外来語もある。しかし、ベトナム語の色を表わ す語が豊富で、外来語の数は少ないと思われる。このような色彩語には日本語と、 相応するものもある。 例: ベトナム語 日本語 外来語の元 1 màu cà phê コーヒー coffee 2 màu sô-cô-la チョコレート chocolate 3 đỏ boóc-đô ボルドー bordeaux 4 màu cacao ココアブラウン cocoa brown 5 màu ka-ki カーキー khaki ベトナム語と異なり、日本語における色彩語の中で、外来語の量が多い、JIS 規 格の統計によると、122 語である。 iii) 動植物名による色彩語 物理的に分析されたそれぞれの色は、数字とローマ字の組み合わせたによる記 号で表されるとともに、名前がついている。また、いわば自然発生的に、多くの ば ら いろ 時に、美しい名前が作り出されている。赤系だけでも、「薔薇色」、「朱色」、 えん じ いろ あかねいろ すお ういろ 「紅」、「臙脂色」、「 茜 色」、「蘇芳色」、「小豆色」といったものがあり、 「スカーレット」のような外来語の名前もよく使われる。このような固有色名に は、植物名や動物名によるものが圧倒的に多い。自然を愛し、自然の中に生活し た先祖の生活の反映であろう。 ● 動物名による色彩語 実際に、動物の色は様々である。このようなことから、動物名による色彩語が 生ずる。その中で、主に鳥の名やネズミの名による色彩語ができている。また、 20 TIEU LUAN MOI download : skknchat@gmail.com 動物の体の一部の名による名称する色彩語もある。一番多いのは鳥の名によるも のである。 順 色彩語 読み方 説明 1 鶯色 うぐいすいろ 鶯の背の色、即ち緑と茶と黒のかかった色 2 鼠色 ねずみいろ 鼠の毛のような色、即ち青ばんだ淡い黒色 3 藍鼠 あいねずみ 藍色がかった鼠色 4 銀鼠 ぎんねずみ 染色の一つ、銀色をおびた鼠色 5 茶鼠 ちゃねずみ 茶色をおびた鼠色 6 利休鼠 りきゅうねずみ 利休色の鼠色を帯びたもの-利休色は緑色を 帯びた灰色という色 7 象牙色 ぞうげいろ 象の門歯の色のような色、即ち淡黄白色 8 どぶねずみ 丼鼠 どぶねずみ 溝 鼠 の毛色に似た素鼠よりやや暗い鼠色 9 駱駝色 らくだいろ 駱駝の毛のような黄みの薄い茶色 10 狐色 きつねいろ キツネの背の毛色に似た色合いのやや赤みを 帯びた黄褐色 11 鴇色 ときいろ 鴇の羽のような色、即ち淡紅色 12 鳶色 とびいろ 鳶の羽色、即ち茶褐色 13 鶸色 ひわいろ 鶸の羽のような色、即ち黄緑色 14 鳩羽色 はとばいろ 鳩の羽のような色、即ち濃い紫をおびた鼠色 15 からす 濡羽色 ぬればいろ 烏 の羽のような艶のある黒色 16 山鳩色 やまばといろ 山鳩の羽のような灰みの強い鈍い黄緑色 17 朱鷺色 ときいろ 少し黄みがかった淡くやさしい桃色 ● 植物名による色彩語 中古には、襲(かさね)(重)の色目という新しい種類の色が誕生した。これ は主として、表と裏の、各々の布の色を重ね合わせた微妙な色合を称したもので、 例えば、「紅梅」は、紅梅の花の紫味を紅色をまねて、表の布が紫、「桜」は、 表の布が白、裏が紅花(あかはな)で、表と裏を合わせると、さながら桜の花び らを思わせる色合、「若苗」(わかなえ)は、草苗の薄い黄緑をまねて、表も裏 うす もえぎ も同色の薄萌黄(黄味の緑)、というように、四季折々の自然をかざり、草木の 花、葉、実等のいろどりをそのまま真似たものである。そして、この襲の名ひに 21 TIEU LUAN MOI download : skknchat@gmail.com は、見本とした植物の名がそのままつけられている。このように、平安に新生し た色目が、文学作品の中だけでも九十種も見られ、いわば、当代を代表する色と なっている。これは王朝の人々が、四季の風物をこよなく愛し、折々に咲く花々、 萌え出、色づく木々の葉、たわわになる実等を賞翫し、それらに似通った色を身 につけたいと願う心情の現われでもあったようで、自然愛の結晶といってよいか もしれない。 植物名による色彩語は、草木の 幹、枝、根、茎、花、葉、実などの色による 色彩を称する語である。このような色彩語が多い。 色彩語 読み方 説明 1 桜色 さくらいろ 桜の花のような色、即ち淡い紅色 2 桃色 ももいろ 桃の花のような色、即ち薄い赤い色 3 小豆色 あずきいろ 小豆の種子の色に似た、黒味を帯びた赤色 4 柿色 かきいろ 柿の実のような色、即ち黄赤色 5 肉桂色 にっけいいろ 肉桂の樹皮のような色、即ち緑黒色 6 栗色 くりいろ 栗の実の皮のような色、即ち黒茶色 7 橙色 だいだいいろ 橙の実の皮のような色、即ち赤味を帯びた黄 色 8 蜜柑色 みかんいろ 蜜柑の実の皮のような色 9 向日葵色 ひまわりいろ 向日葵の花のような色 10 榛摺 はん はりずり 榛の木の実や樹皮で染めた深く渋い橙色 11 若芽色 わかめいろ 植物の若い芽のような淡い黄緑色 12 柚葉色 ゆずはいろ 濃く暗い緑色(文字通り柚子の葉に由来する 色で、別に「ゆばいろ」とも読まれる) 13 柳緑 りゅうりょく 青々とした新緑の柳のような青みの強い黄緑 色 14 草色 くさいろ 若草が色濃くなったようなくすみのある濃い黄 緑色 いた どり 15 左 伊 多 津 万 さ い た づ ま い よく育った虎 杖の葉のような黄みを含んだ濃い緑 色 ろ 色 16 裏葉柳 うらはやなぎ 柳の葉裏の薄い緑色を表現した染めの色 22 TIEU LUAN MOI download : skknchat@gmail.com 17 若苗色 わかなえいろ 田植えの時期の若い苗のような新鮮な黄緑色 18 玉蜀黍色 とうもろこしい とうもろこしの実の色のような温かみのある浅い ろ 黄色 19 蒸栗色 むしくりいろ 蒸した栗の中身のような緑がかった淡くやわ らかい黄色 20 蘇芳 すおう 黒みを帯びた赤色(蘇芳とは染料となる植物の 名前) 21 千草色 ちぐさいろ わずかに緑みを帯びた明るい青色 22 菜の花色 なのはないろ 明るい緑みの鮮やかな黄色、あぶら菜の花に似 た色 23 胡桃色 くるみいろ 胡桃の木の皮や実の外皮、あるいは根の皮な どを使って染めた黄褐色 24 裏柳 うらやなぎ 柳の葉裏の色からきた色名で淡い黄緑色 25 老竹色 おいたけいろ 年を経た意味の灰みをおびた老竹のような、 ややくすんで灰色がかった緑色 26 檳榔子染 びんろうじぞ 檳榔子染は檳榔樹の実を染料として染めた黒 め 褐色 27 苗色 なえいろ 稲の苗のような淡い感じの緑色で、萌葱色の明る い色 28 鴨頭草 つきくさ 友禅染の下絵に用いられていた青花紙の濃い 青色 29 茄子紺 なすこん 夏野菜として親しまれている茄子の実のよう な紫みの濃い紺色 30 苔色 こけいろ 苔のような深く渋い黄緑色 31 木賊色 とくさ とくさいろ 木賊の茎のような青みがかった濃い緑色 32 勿忘草 わすれなぐさ 勿忘草の花の色のような可憐な明るい青色 33 赤橙 あかだいだい 一般にやや赤みの濃い橙色 34 紅色 べにいろ あざやかな赤色(古代より紅花から抽出され た紅色色素は、世界中で化粧料として用いら れてきた) 35 梔子色 くちなしいろ アカネ科クチナシの実で染めた少し赤みのある黄 23 TIEU LUAN MOI download : skknchat@gmail.com 色 山野の草木を材料とし、種々工夫をこらして作り出した色も非常に多い。特に 多いのが、草木の幹、枝、根、茎、花、葉、実などを材料にして染色したもので ある。そこで、様々な色彩語はその草木の名前を名とするものである。例えば、 「茜」(実)、「藍」(葉、茎)、「蘖」(キハダ)(内皮)、「支子」(クチ ナシ)(実)、「紅」(花)、「鴨頭草」(花)、「紫」(根)などがそれであ る。茜という草の根で染めたのが「茜」、藍という草の葉・茎を摺ったり、染め たりしたのが「藍」というように、そのほとんどが染料の名称をそのままの即物 的な色名である。さらに、染料とした植物もまた、木蘖は幹の肌が黄色であるか ら黄肌、支子は実が熱しても果皮が開かず口をつぶったままなので口無(くちな し)、というように、いずれもその特徴をよく摑んだ具体的な名称である。この ように、主要な在来の色については、『色彩名―材料名―材料の特性を表す名』 という図式が成り立ち、実に具体的、即物的であるといえよう。 ベトナム語における色彩語の一部分は動植物の名前による色を名称するもので ある。この ような色彩語の中で、並列できるものは実際より大変少ない。 ● 動物名による色彩語 鳥の名やネズミの名によるほとんどの日本語における色彩語と異なり、ベトナ ム語における色彩語はもっと多様である。日本語に翻訳する時、このようなもの に対応した語を探すのは難しい。そのような場合は、系統色名による説明するこ とができる。 例: ベトナム語 系統色名による説明 1 màu mỡ gà 黄に似ている色 2 vàng lông gà 薄い黄に似ている色 3 xanh lông công 黄緑 4 màu cánh gián 濃い茶色 5 màu gạch cua 濃いオレンジ 6 màu lòng trứng 淡黄色 24 TIEU LUAN MOI download : skknchat@gmail.com しかし、対応した語を探すことができる場合もある。 例: ベトナム語 日本語 1 màu vỏ trứng 卵色 2 màu trắng ngà 象牙色 3 màu lông chuột 鼠色 ● 植物名による色彩語 動物名による色彩語と同様に、並列できるものは限られている。実際に、個人 や連想によって、このようなタイプの色彩語の数がもっとも多い。以下に挙げる ベトナム語における色彩語が日常の生活の中でよく使用されている。 例:màu đu đủ, màu hoa thiên lí, đỏ cánh sen, màu mận chin, màu vàng mơ, xanh nõn chuối, xanh lá mạ, màu cỏ úa, tím hoa cà, tím sim, vàng rơm, vàng nghệ, màu đỏ gấc, màu vỏ đỗ, 等 日本語に翻訳する際、様々な植物の種類がベトナムにあり、日本にはないもの もあるので、直訳できないかもしれない。 iv) 他の起源 れん が いろ • 材料の名による色彩語:煉瓦色(赤煉瓦の色) つち いろ おう ど いろ • 土の名による色彩語:土 色 (土のような色、黒味お帯びた青色、黄 土 色 (黄色がかった茶色)等 • 自然の物の名のよる色彩語 色彩語 読み方 説明 1 赤錆色 あかさびいろ 鉄などに生ずる赤色の錆のような色 2 錆色 さびいろ 鉄錆のような赭褐色 3 緑青色 ろくしょういろ 銅の表面に生ずる緑青の錆のような色 4 卵色 たまごいろ ‐鶏卵の殻の色、即ち白茶色 ‐鶏卵の黄身の色、即ち淡黄色 5 砂色 すないろ 砂の色のような色 25 TIEU LUAN MOI download : skknchat@gmail.com 6 水色 みずいろ 7 空色 そらいろ 晴れた空の色、即ち薄い青色 8 銀色 ぎんいろ 銀のような 9 金色 きんいろ 黄色のような色 10 鉄黒 てつぐろ 11 鉛色 なまりいろ 鉛(Pb:金属元素の一つ)の色のような色 • 基本色彩語から互いに複合される色彩語 実際に、各基本色から交ぜるので、様々な色が作り出されている。そこで、こ のような色の名前はその基本色名からなる複合語である。このような色彩語が多 い。例えば:赤茶、黄赤、白緑、青緑、青紫、黒茶などである。 国や人によって、色彩語の量や意味が違う。しかしながら、以上の例から、ほ とんどの色彩語が修飾語が付いた基本色彩語が二つ以上の基本色彩語による解釈 することができると思われる。 例:-基本色彩語+基本色彩語:灰色(白+黒) -修飾語+基本色彩語 :紅梅色(柔らかい+赤) しかし、このような方法で色を表現するのは複雑で、連想しにくいと思われる 実際に、それを使用するとき、間違いやすいと言える。 例:瑠璃色 群青色 一方、現実の色彩の世界は豊富であり、植物や動物などの色の多様性は人間の目 を楽しませてくれ、その自然物の名による色彩語が形成されるのは当然であろう。 ベトナム語における、外来語の元と動植物名による色彩語の起源を除き、他の起 源もある。 - 地名による色彩語(地域の特徴的な色):tím Huế - 色の象徴的意味による色彩語:xanh hoà bình(ベトナムでは“màu xanh”は平和 を象徴する)、xanh bộ đội(ベトナムにおける軍人のユニフォームの色)、xanh công nhân(労働者のユニフォームの色) 2.2 基本色彩語の象徴的意味 人間は昔から、「色」によって喜怒衷楽の感情を表してきた。美術でいう暖色 (赤・橙・黄)と寒色(水色・青・藍)は、感情表現に用いられている。キリス ト教では、天の父(神)は青、聖霊は赤、子(人間)は黄色で表されるというこ とである。国旗の色も、それぞれ何かを象徴している。仏教の僧侶の衣の色は、 26 TIEU LUAN MOI download : skknchat@gmail.com 位階を示す。花言葉も、それぞれの花のに関係している。その他、文化によって、 時代によって、具体的な事物からの連想で、描象的な概念を表すために、様々な 色が用いられてきている。 現実の色彩の世界は様々な色に溢れ、その変化と多様性は人間の目を楽しませ てくれてすばらしい。しかし、色彩語が表す言葉の世界はよりすばらしい。それ はこれほど多くの色があることを認識させるだけでなく、生活を伝え、歴史を伝 え、人間の営みのすばらしさを伝えるからである。昔から日本人の生活や文化を 反映している色彩語が多い。例えば、「瓶覗」(かめのぞき)というごである。 藍はタデ科の藍草で染めた色であるが、布を藍瓶に浸ける度に色は濃くなる。初 めの少し浸けただけのごく濃い青色が瓶覗である。それから順次濃くなって、浅 葱(あさぎ)、縹(はなだ)、藍、紺となるのだという。瓶覗という色名は単に 「淡い藍色」というのは違う。それは日本の染色文化を背景に持った言葉である。 「麹塵」(きくじん)という語がある。灰がかった黄緑である。天皇が公事でな く、非常の賭弓や競馬の時着用される袍の色である。 禁色であるが、その麹塵という名は麹黴(こうじかび)の色から来ている。日 本の醸造文化を背景にした色名である。禁色とされた「黄丹」(おうに)(赤味 の橙色、皇太子の位を表す色)、朱華(わずかに紫色がかった橙色)、黄櫨染 (こうろぜん)(黄味を帯びた茶色、天皇の袍の色)、いずれも宮廷文化を象徴 する色である。 色彩語は時代とともに変わっていく。今からわずか百年足らず前の明治末から 大正にかけての頃の人は麹塵、浅黄(浅葱)、縹、萌黄(もえぎ)というような 色彩語を特別な言葉としてではなく、非常の生活語として使っていた。 色彩語の特徴的意味は豊富であり、色によってその特徴的意味は違う。 色彩語については、最初基本となる原色から考えるべきである。原色とは、絵 の具では赤・青・黄で、光では赤・緑・青の三色である。この三色を混合するこ とで、種々の色彩ができるわけであるが、ここでは絵の具の方を中心に考えるべ きである。それは、色彩は原始時代からの顔料が起源であり、やがて色彩語が造 られていったと思われるからである。 日本では、この三原色に五行思想の影響を与え、「白」と「黒」とが加わり、 その五色が基本となった。それは「青」(春・東・木)、「赤」(夏・南・火)、 「白」(秋・西・金)、黒(冬・北・水)、「黄」(土用・中英・土)である。 27 TIEU LUAN MOI download : skknchat@gmail.com その中で、「青」は「赤」の一種の丹と組み合わせ、中国文化、東洋の芸術・思 想と深い関係を持つようになった。 ● 白 医師や看護師をはじめとした医療従事者や、調理師など、清潔を必要とする職 業では汚れが目立ちやすい白い衣服を着用し、白衣と呼ぶ。研究者など、危険な 物質が付着する可能性のある職業でも同様である。 白は、しばしば「善」「純潔」「清廉」などのイメージを伴うことが多い。例 えば、善事の為の魔術を白魔術という。 政治的に、白は反共主義や反革命を象徴する。これは、フランス革命やロシア 革命のときに、王党派が白旗(ブルボン家の白百合紋章に困んだ)を目印とした 事に由来する。ここから一般に、右翼や支配階級(政府・資本家階級)は「白」 ともよばれることもある。例えば、白色テロ(=政府・資本家によるテロ)、白 軍(反革命軍) 印刷(モノクロ)の世界では、白紙に黒文字で記されることが多いため、白は 「無」「撤回」を表す。警報の解除を、英語では“white alert”(白色警報)という。 「白紙」や「政府側」のイメージから、白は「替成」を意味する。例:「白紙委 任」「白票」。 五行思想では、白は金性で秋を象徴する。同じく、金性の西を守護する神獣は 白虎である。 現在では、白は冬や北を象徴することが多い。これは、雪や水や白熊イメージ に因る。 冠婚葬祭では、白は吉事と凶事の両方に用いられる。 例:-吉事の白:結婚式などの紅白幕 -凶事の白:死に装束の白衣 母の日での白いカーネーションは、「亡き母をしのぶ」ことを意味する。(対 して、赤は健在を意味する) 行政の許認可を要する自動車運送事業(バス・タクシー・トラックなど)を無 許可・無認可で(違法に)行うことを「白~」という。これは、日本では許認可 を受けた営業用自動車のナンバープレートが緑色であるのに対し、許認可を受け ていない自動車(自家用自動車)のナンバープレートは白色であることに由来す るが、日本国外の場合にも用いる。例:白タク、白バス 28 TIEU LUAN MOI download : skknchat@gmail.com 公認野球規則において、ホームチームはユニフォームに白色の生地を使用する と決められている。 冷蔵庫や電気洗濯機などを白物家電と呼ぶ。これは白を用いることで清潔感を アピールするだけでなく、主な利用者が主婦層であるために、重厚なイメージを 与える黒に対して、軽さ、使いやすさを主張する色であるといわれる。対して、 テレビや各種レコーダー、オーディオ機器は黒が好まれる。 ベトナムでは、白は明のイメージから、ベトナム人の観念にとって、一般的に、 「善」「純潔」「清廉」などを象徴する。そこで、医師などの医療従事者や清潔 を必要とする職業では、白い衣服を着用する。ベトナムでは、白は花嫁の衣服の 色にもなる。 また、白は「無」の意を表わす。例えば:(無罪) 白は目立つ色であり、明るく清らか過ぎる。日本では、神を祭る時に着る着物、 喪服の外には身につけなかった色であった。婚礼や誕生のような晴れの時にも用 いたが、目立ち過ぎる色であったために、すこしずつ避けることになり、庶民に は渋い色を懐かしむ風が兆したのであった。 表 2.